頭痛

疾患概要

たまたま行った画像検査で偶然に発見された副腎腫瘍を副腎偶発腫瘍と言います。CTなどの画像検査で約4%に見つかれるとされ、比較的頻度が高いありふれた症状である頭痛を全く経験したことがない人は少ないでしょう。
ほとんどの頭痛には命にかかわることはないですが、たまに命にかかわる危険な頭痛があります。代表的な疾患として ①くも膜下出血 ②髄膜炎 ③脳腫瘍 などがあります。
頭痛診療では、まず命にかかわる危険な頭痛かどうかを調べます。頭痛がいつから、どのように発症し経過したかを詳しく聞き、神経の異常がないかを診察しておおよその検討をつけます。危険な頭痛の可能性があると判断した場合は緊急で検査をおこない診断を確定します。逆に危険な頭痛の可能性はほとんどないと判断した場合でも念のため検査をおこなうことが多いです。

危険な頭痛とは

くも膜下出血

脳の血管にできた動脈瘤が破裂して出血します。突然今までにない強烈な頭痛と嘔吐がおこり、意識がなくなることもあります。3人に1人が死亡し、1人は後遺症を残します。
治療は手術になります。頭蓋骨をはずして脳の動脈瘤に金属のクリップをかける開頭手術(脳動脈瘤クリッピング手術)とカテーテルを用いて動脈瘤を内側から非常に細いコイルで詰めて治療する血管内治療(脳動脈瘤コイル塞栓術)があります。
血管内治療は頭蓋骨をはずさずにできるメリットはありますが、脳に出血がたまっているケースや脳が腫れているケースでは開頭手術が必要になります。また手術中に動脈瘤が破裂した場合は血管内治療では対処が困難というデメリットもあります。

髄膜炎

発熱と強い頭痛が特徴です。重い風邪の症状と似ていますが頭痛が強ければ髄膜炎を疑います。
ウイルス性髄膜炎と細菌性髄膜炎があり、細菌性髄膜炎は治療しなければ死亡してしまう危険な病気です。抗生物質で治療します。

脳腫瘍

頭痛は早朝に強いことが多いです。頭痛を訴えないケースも多く、徐々に手足が麻痺したり、うまくしゃべれなくなったり、いろんなことができなくなり発見されるケースが多いです。偶然発見されることも多いです。
頭痛がおこると深刻な病気を考え不安になる人が非常に多いですが、大部分は命にかかわらない頭痛です。受診することで殆どの不安は取り除けます。一人で悩まないで気軽に相談してください。

脳震盪

脳震盪は転倒、交通事故、スポーツなど日常いたるところでおきます。殆どは自然に軽快し後遺症を残しません。しかし対応を間違えると稀ですが後に後遺症が残る可能性があります。近年ではサッカー、ラグビー、柔道などの学生スポーツでは指導者への安全教育が普及し頭部外傷で重篤な後遺症を負うケースは激減しました。しかしゼロにはなっていません。

脳震盪の典型的な症状

  1. 頭部打撲時に短時間意識を失う。
  2. 頭痛が続く。
  3. 嘔気があり動くと吐いてしまう。
  4. ボーッとして上の空になる。
  5. 自分が今どこにいて何をしていたかわからなくなる。
  6. 見たこと、聞いたことをすぐ忘れるようになり同じことを何度も質問する。転倒したことも覚えていない。

セカンドインパクトシンドローム

脳震盪の症状が残っているにもかかわらず更に頭部打撲すると、脳が急に腫れてきたり、頭蓋内に出血をきたしたりして昏睡となり死亡するケースもあります。スポーツ選手は脳震盪をおこしたら競技や練習に復帰してはいけません。スポーツ選手に限らず脳震盪をきたした人は安静にしなければいけません。一定期間は頭部打撲を避ける必要があります。必ず医療機関を受診し医師の指示に従ってください。

脳震盪の対応

”安静”が絶対に必要になります。程度により入院が必要になるケースもあります。自宅で様子を見る場合は以下のことを守る必要があります。

  1. 一人にさせない
  2. 外出させない
  3. 運動させない
  4. 運転させない(自転車も)
  5. 飲酒させない

最低でも2~4週間は頭部打撲を避ける必要があります。スポーツ選手の競技復帰は指導者や医師の指示に従ってください。

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