IgA腎症

疾患概要

腎臓では細い血管の塊(糸球体)と呼ばれる所で血液を濾過し尿を作っておりますが、ここの所に免疫成分(IgA)が沈着して炎症を起こす疾患です。
蛋白尿が続く状態の中では最も多く約7~8割の方が、学校や職場などで実施される一般健康診断の尿検査をきっかけに発見されています。
発症初期には自覚症状はほとんどありませんが、放置すると20年程度で透析治療が必要な腎不全へ至る事もあります。

原因・症状

本来ならウイルスなどの微生物から体を守ってくれるはずの免疫が、何らかの異常から腎臓に沈着することで発症します。IgA腎症の患者では異常なIgAが血液中に増加している事が分かっており、この異常なIgAは糸球体に沈着しやすい特徴があります。すると糸球体で炎症が起こり、蛋白尿や血尿が生じて来るのです。
IgA腎症の主な症状は蛋白尿や血尿です。これらは普段自覚されにくいですが、風邪をひいた時などに肉眼的血尿(コーラや紅茶のような尿)が出て気が付く事もあります。大半の症例が、検診などで血尿・蛋白尿を指摘されて見つかっています。
進行した場合、腎機能は徐々に低下しむくみや高血圧など腎不全に伴う症状が出現します。

検査

まず、早朝尿や随時尿(任意の時間に採尿される尿)を用いた尿検査を行い赤血球や蛋白が含まれているかを調べます。
尿中の蛋白濃度とクレアチニン濃度の比を調べる事で1日に漏れ出している蛋白量を推測する事ができます。
また血液検査により、腎機能がどの程度障害されているかを調べる事が出来ます。成人では血液中のIgAが上昇している事もあります。
最終的な確定診断には「腎生検」と呼ばれる検査が必要になります。腎臓の組織を採取し顕微鏡で観察してIgAが糸球体に沈着している事を確認します。

治療

蛋白尿を減らす事が目標になります。重症度により治療内容が変わってきますが血圧管理や食事療法、禁煙などの一般的な治療の他、降圧薬(RAS阻害薬)、ステロイド薬、免疫抑制薬、口蓋扁桃摘出術などがあります。
尿検査や血液検査、腎生検の結果などをふまえて最適な治療を検討します。

対象の診療科