大腿骨頚部骨折、大腿骨転子部骨折

疾患概要

どちらも大腿骨の骨折です。大腿骨の一番上の部分は球形をしているので骨頭とよびます。 そのすぐ下の細くなった部分を頚部とよびます。 頚部はさらに太い部分につながります。この太い部分のことを転子部と呼びます。それぞれの部位での骨折を大腿骨頚部骨折、大腿骨転子部骨折とよびます。

骨粗鬆症の方に発生しやすい代表的な骨折です。1980年代までは不治の骨折といわれていました。手術をしても寝たきりとなることが多かったようです。しかし近年、手術器具の発達により手術成績が向上しました。現在では年齢を問わず手術を検討することが一般的となっています。

原因・症状

ほとんどの場合転倒にて受傷します。高齢者や骨粗鬆症の方ではリスクが高い骨折です。
症状としては、臀部や股関節周囲、太ももの痛みで歩行困難となることが多いです。骨折した方の脚が短縮することもあります。

検査

X線、CT検査、(場合によってはMRI検査)を行い、骨折の位置、ズレを評価します。

治療

治療には保存的治療法と外科的治療法(手術療法)があります。
保存的治療法は、手術をせずに骨癒合を待つものです。骨癒合には数ヵ月を要するので,その間はベッド上で安静が必要です。

しかし高齢者の方が長期臥床すると、寝たきりとなってしまいます。寝たきりでは褥瘡(床擦れ)が出来てしまったり,肺炎が生じたりします。それらの感染がひどくなると命にかかわります。これらのことから高齢者の方には早期離床(ベッドから出ること)が重要となってきます。近年では手術の成績が安定したため早期離床が可能となりました。このため手術療法を第一選択とすることが一般的となっています。全身状態が手術に耐えられるかどうかを評価したうえで、手術を行っています。手術方法は、転子部骨折、頚部骨折でそれぞれ異なります。

手術後はリハビリテーションを開始し、歩行能力の回復を目指します。全体としては、手術をしても歩行機能はワンランク落ちます。歩行能力の回復には受傷前の歩行能力や年齢、歩行意欲、認知機能など、様々な要因が関係しており、実際は個人差があります。
手術療法に合わせて骨粗鬆症の治療を行うことが重要です。

対象の診療科