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手や足の血管の動脈硬化がすすみ、血管が細くなったりつまったりすることで、手や足の十分な血流が保てなくなり、「歩いていると足が痛くなる」、「足が冷たい」、「足の色が悪い」などの症状が出てきます。主に足の動脈に起こるので「閉塞性動脈硬化症(ASO: arteriosclerosis obliteransまたはLEAD: lower extremity artery disease」といいます。
ASOがある人は、全身の血管に動脈硬化が発症していることもあるので、心臓の冠動脈の動脈硬化により発症する「狭心症」や「心筋梗塞」、脳の血管の動脈硬化により発症する「脳梗塞」や「脳出血」などの様々な病気にも注意する必要があります。
糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙、中高齢(特に60歳以上)、男性、脳・心血管疾患の既往などが知られています。
最初は、足の冷感や色調の変化が現れます。その後間欠性跛行(かんけつせいはこう)が起こります。間欠性跛行とは、歩いているとふくらはぎなどがこわばり痛くなることです。少し休むと痛みはなくなりますが、症状が悪化してくると、ちょっと歩いただけで痛くなり、歩くことが困難になってしまう症状のことです。より悪化すると安静にしていても足の痛みを感じ、さらに悪化すると足の指に壊疽(えそ)が起こってしまうことがあります。壊疽とは、動脈硬化により、血流が悪くなったり、血流が途絶えたりすることで、その部分の細胞がどんどん腐っていってしまう状態です。
ASOのスクリーニングとしてよく行われる非侵襲的な検査であり、ABIは腕の血圧と足の血圧の比のことで、「足の血圧/腕の血圧」が0.9以下の場合ASOが強く疑われ、以下の検査による精査が行われます。
足の造影CTを行い、造影した血管を再構築して画像を得る検査です。造影剤を使用するため、腎機能が悪い方には行いにくい検査です。
足のMRIを行い、血管を再構築して画像を得る検査です。造影剤を使用しないため腎機能が悪い方にも行えますが、画像の解像度がCTより劣ることや体内金属が入っている方には行えない検査です。
手の血管からカテーテルを足まで進め、直接足の血管造影を行う検査です。解像度が高くASOの確定診断をすることができます。
足の痛みのある(間欠性跛行)患者さんには症状を緩和する内服を開始します。また動脈硬化のリスクファクターである糖尿病や高血圧、脂質異常症などに対する薬物加療のコントロールを強化し、禁煙を勧めます。禁煙外来に通院して禁煙を行うことも勧めています。
当院では血流改善を目的としたカテーテル治療(ステント留置術)を積極的に行っています。治療後に足の症状が改善・消失することが期待されます。
「歩く」ことは特別な用具や場所を必要とせず、また体への無理な負担がなく、安全性にも優れていることから、中高年の健康づくりに役立ちます。歩くことにより病変以外の血流を増やし血行を改善させます。足の症状のでる一歩前で休みながら繰り返し歩くよう心掛けましょう。
足に傷がある場合の創傷治療で経過が十分でない場合や血行再建術(カテーテル治療またはバイパス手術)が困難な場合に行います。吸着型血液浄化器(レオカーナ)を用いた血液浄化療法は、血液の粘度の低下および血管を広げ、血流改善に効果があります。
当院では以上の検査とバイパス手術を除く治療が可能です。「歩いていると足が痛くなる」、「足が冷たい」などの症状をお持ちの方は、一度循環器内科を受診してみることをお勧めします。
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