狭心症

疾患概要

狭心症は、類似した病気の心筋梗塞と合わせ、虚血性心疾患と呼ばれています。「虚血性」とは「血液が不足している」という意味です。近年、食の欧米化などで動脈硬化による病気の発症率が増加しており、注目を浴びている疾患の一つです。
狭心症とは、心臓の栄養血管である冠動脈が狭くなったり、閉塞したりすることで十分な酸素や栄養分が心臓の筋肉まで届かなくなる病気です。

症状

主に胸の痛み、締めつけられるような感じ、圧迫される感じ、重たい感じなどです。一般的に、坂道や階段を上ったり、重い荷物を持ったりした時など心臓に負担のかかるような行動をとった時に、症状が出やすいのが特徴です。痛む場所は、主に胸の中央部から胸全体にかけてですが、時に背中や上腹部、左腕、首や顎の痛み、呼吸が苦しい、胃が痛むなどといった症状を訴えることもあります。冷や汗やあぶら汗が出る、吐き気がするといった症状を伴うことがあります。

検査法

心電図検査

胸や手足に電極を付け、安静にしてもらって心電図をとります。狭心症では発作が起きてから、病院に行くまでに症状が改善・消失することが多いため、来院時の心電図検査では異常を認めないことがあります。そのため、狭心症が疑われる場合は、発作時の状態を調べるために、運動をしてもらって心電図を測る、下記の「運動負荷心電図」を行うことがあります。

運動負荷心電図検査

運動をしてもらいながらとる心電図検査です。冠動脈に狭窄や閉塞がある場合、心臓に負荷をかけることで、心電図変化が現れ診断がつくことがあります。当院ではトレッドミル(ベルトコンベアー状のベルトの上を歩行する器具)を使って運動します。

ホルター心電図検査

携行用の小型心電計です。胸に電極を貼り付けたままにして、日常生活における心臓の状態を把握します。これを装着すれば、深夜から早朝までの普段測れない時間帯を含めた、24時間の心電図をとることができ、症状のある時の心電図変化や不整脈などを調べることができます。

冠動脈CT検査

点滴から造影剤を注入し、冠動脈に造影剤が届いたタイミングで心臓の断面を撮影します。三次元画像で冠動脈全体を評価することができます。造影剤を注入して撮影する点はカテーテルを使った「冠動脈造影検査」と同じですが、カテーテル検査では入院が必要なのに対し、こちらは外来で受けることができます。

心筋シンチグラム検査

放射性同位元素(ラジオ・アイソトープ)を体内に注入し、それを標識として心筋の血流分布を評価するコンピュータ断層撮影です。心臓核医学検査とも言われます。造影剤を用いないため、腎機能が悪い患者さんでも受けることができます。

冠動脈造影検査

冠動脈をX線撮影する検査です。手首や足の付け根などの血管(動脈)からカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、造影剤を注入し冠動脈を直接造影します。当院では2泊3日の入院で行っています。

治療法

治療としては、薬物療法、冠動脈インターベンション(心臓カテーテル治療)、冠動脈バイパス術があります。薬物療法は治療の基本であり、通常は薬物療法を行った上で、冠動脈インターベンションや冠動脈バイパス術を行います。冠動脈バイパス術の場合、近隣の横須賀市立うわまち病院や横須賀共済病院などに紹介しています。  

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)

狭くなった、あるいは詰まった冠動脈(心臓の筋肉を栄養する血管)を広げる治療になります。橈骨動脈(手首)や大腿動脈(足の付け根)を通して、血管内に筒状のカテーテル(2〜3mm径)を冠動脈入口部に持ち込んだ後、造影剤とX線イメージングを使用して冠動脈を観察します。その後、細く柔らかいワイヤーで病変部を通過させ、それに載せる形でバルーンを病変部に進め、バルーンを拡張して狭窄や閉塞を解除します。その後、折り畳んだステント搭載した「ステント付きバルーンカテーテル」を病変部に持ち込み、内側のバルーンを拡張してステントを展開します。これにより血管の拡張状態をしっかりと保持することができます(ステント留置術)。
当院では以上の検査とバイパス手術を除く治療が可能です。「歩いていると胸が痛くなる」などの症状をお持ちの方は、一度循環器内科を受診してみることをお勧めします。

対象の診療科